ノートPCだけなら充電できていたのに、同じ充電器へスマホを追加すると遅く感じる。複数ポートの充電器では、使う口が増えるとPC側に割り当てられる最大出力が変わることがあります。「100W充電器」でも、2台へ100Wずつ出せるという意味ではありません。
選ぶときは、充電器全体の合計出力より先に、普段使う2口の組み合わせとPC側の配分を確認しましょう。今回は国内向けに掲載されているAnkerの100W・3ポートの2機種を比べます。どちらもUSB-Cを1口だけ使うと最大100Wですが、2口を同時に使う配分は同じではありません。
目次
まず「合計100W」と「PCへ何Wか」を分ける
W(ワット)は、電気を供給する力を示す電力の単位です。合計最大出力は充電器全体の上限、単ポート最大出力は1つの口だけを使ったときの上限です。複数の口を使うときは、その組み合わせで示された出力表を読みます。
たとえばUSB-Cを2口使う場合、上の口へ最大65W、下の口へ最大35Wという充電器があります。合計は100Wでも、下の口へ挿したPCが100Wを使えるわけではありません。逆にスマホが配分された最大値を常に使うとも限りません。
USB Power Delivery(USB PD)は、対応する機器同士で電力をやり取りするための規格です。USB-IFの説明には、機器が必要な電力を受け取り、必要に応じて電力管理を行う仕組みが示されています。端子の形がUSB-Cでも、充電器・ケーブル・PC側の対応を一緒に確認する必要があります。
同じ100WのAnker 2機種を比較する
対象は次の国内向け型番です。名前の似たPrime Wall Chargerなど、別型番の仕様は含めません。
- Anker Prime Charger(100W, 3 Ports, GaN):A2688N42(シルバー)
- Anker 736 Charger(Nano II 100W):A2145N11(ブラック)/A2145N21(ホワイト)
両機とも、正面にUSB-Cが2口、USB-Aが1口あります。以下では上側のUSB-CをC1、中央のUSB-CをC2、下側のUSB-AをAと表記します。数値は各組み合わせの最大出力で、実測した充電速度ではありません。
| 使い方・仕様 | Prime Charger A2688 | 736 Charger A2145 |
|---|---|---|
| 合計最大出力 | 100W | 100W |
| C1またはC2だけを使用 | 最大100W | 最大100W |
| C1+C2 | C1:65W/C2:35W | C1:60W/C2:40W |
| C1+A | C1:65W/A:22.5W | C1:80W/A:18W |
| C2+A | 2口で合計24W | C2:60W/A:22.5W |
| 3口を使用 | C1:65W、C2とAは合計24W | C1:45W/C2:30W/A:18W |
| 重さ | 約168g | 約217g |
出典:Primeの国内製品ページと出力表、736の国内製品ページと出力表。736は公式説明書の数値とも照合しました。Primeの「C2+Aは合計24W」は、それぞれ24Wという意味でも、必ず12Wずつという意味でもありません。
PCとUSB-Cのスマホを同時に充電し、PC側に65Wの枠を確保したいなら、配分上はPrimeのC1が候補になります。736のC1+C2ではPC側の上限は60Wです。一方、USB-Aでつなぐ機器も使い、PC側へより多く配分したいなら、736のC1+Aは80W+18Wという組み合わせです。
これは出力表からの選び方で、特定のPCやスマホの充電速度を保証するものではありません。USB-A側の機器も、その規格や受け取り可能な電力に応じて動作します。
挿す順番より、PCをつなぐポートを確認する
PrimeへPCをC1だけでつないだ状態では最大100Wでも、後からC2へ2台目を追加すると、出力表上の配分は65W+35Wになります。先にPCをつないでおけば100Wの枠を固定できる、という読み方にはなりません。どちらを先に挿すかだけでなく、最終的にどの口を同時に使っているかを確認します。
Primeは、メーカーが高電力の機器を上部のUSB-Cへつなぐよう案内しています。C2へPCをつないだままUSB-Aも使うと、その2口の合計は24Wです。単独ではC2も最大100Wだからと、同時使用でも口を入れ替えてよいとは考えないようにしましょう。
736も、USB-C2口ならC1が60W、C2が40Wです。さらにUSB-Aを追加すると45W・30W・18Wへ変わります。スマホやイヤホン用に3台目を挿す予定があるなら、購入前にその行まで読んでおきたいところです。
接続・取り外しの際に、電力配分の条件が変わることと、どの程度の時間で給電が切り替わるかは別です。今回、両機の切替時の一時停止の有無・秒数や、接続順によるすべての挙動は確認していません。常時電源を必要とする機器まで同じ充電器へまとめる場合は、無停止で使えると決めつけず、その機器の給電条件も確認してください。
PCの必要電力とケーブルをそろえる
最初にPCの取扱説明書やメーカー案内で、USB-Cからの充電に対応するか、推奨される電源アダプタの出力はいくつかを確認します。たとえばAppleのMac向け案内は、USB PD対応の電源アダプタと、各モデルで推奨される最小ワット数以上の給電能力を案内しています。この条件をWindows PCの全機種へそのまま当てはめることはできません。
仮に65Wを目安に選ぶPCなら、「充電器の合計が100W」ではなく「スマホを一緒につないだ状態でもPC側に65Wあるか」を比べます。90W前後が必要な使い方なら、今回の2機種では、表にある2台同時使用時のPC側の枠が足りない可能性があります。その場合は、2台同時の配分が必要条件を満たす別の充電器や、PC用を分ける方法を検討します。
ケーブルも別に確認します。736の公式注意事項は、100W出力を使う場合に100W対応ケーブルが必要と明記しています。Prime・736ともケーブルは別売りです。充電器だけを買い替えても、手持ちのケーブルが必要な電力に対応していなければ、その条件では使えません。
ケーブルを選ぶ際の給電能力と、写真などをコピーするためのデータ転送への対応は別の確認です。iPhoneからUSBメモリへ写真を移す用途もある人は、パソコンなしで写真を保存する手順と接続の確認も読むと、充電用と保存用の準備を整理できます。
配分が足りても、充電速度は一定とは限らない
ポートの最大出力をそろえることは、実際の充電が常にその電力で続くという保証ではありません。PC側の受け取り条件、使っている処理、バッテリーの状態なども関係します。Appleの充電案内も、適切なアダプタとケーブルの組み合わせや、低速充電・充電保留などの状態を分けて説明しています。
また、Primeのクイックスタートガイドには、温度を検知して出力を調整する説明があります。メーカーが示す最大出力だけから、長時間の高負荷でも同じ出力を維持すると断定しません。GaNという名称も、ここで比較したポート配分の代わりにはなりません。
遅く感じる場合は、PCだけでつないだ状態と、普段使う2台をつないだ状態を分け、接続ポートとケーブルの仕様、PC側の表示を確認します。Macでは「システム情報」の電源欄から接続した充電器のワット数を確認する方法が公式に案内されています。ただし、その表示値だけでバッテリーへ入り続ける実測電力と判断しないでください。
どちらを選ぶかは、普段の組み合わせで決める
PCとUSB-C機器を2台で使い、PC側の65W枠や軽さを重視するならPrimeが候補です。3口を使うときもC1の枠は65Wですが、残り2口は合計24Wになります。PC以外の2台にも大きな出力が必要なら、その制約まで確認します。
736は、C1+USB-AでPC側80Wという組み合わせを使いたい場合に候補になります。USB-Cを2口使う場合は60W+40W、3口ならPC側45Wへ変わるため、常にPCへ80W出せる製品としては選べません。両機とも、同時に使う相手機器とポートを決めてから比較するのが確実です。
旅行へ持参する場合、コンセントへ挿す充電器と、電池を内蔵したモバイルバッテリーは別のものです。後者も持つ人は、飛行機に持ち込む容量・個数と機内使用の確認で、機内での扱いを別に確認してください。
この記事では国内公式掲載の型番と出力配分を確認しました。個別PCとの動作、充電時間、温度の実測、切替時の停止、販売店ごとの実売価格・在庫は未確認です。合計W数の大きさだけで速度の順位を付けず、自分のPCと普段つなぐ2台目に必要な配分から選びましょう。


