飛行機で旅行するためにモバイルバッテリーを買うなら、容量だけでなく、持っていく個数と機内での扱いまで確認したいところです。条件を満たして機内へ持ち込めても、そのバッテリーでスマートフォンを充電してよいとは限りません。

日本では2026年4月24日に新しいルールが適用されました。JALは国内線・国際線とも、160Wh以下・1人2個までという条件を掲載しています。一方、海外航空会社では100Whを超える場合に事前承認や資料提出が必要な例もあります。国内線か国際線かだけで決めず、搭乗日と運航会社をそろえ、「持ち込める」「機内で使える」を分けて確認するのが選び方の出発点です。

この記事は2026年10月16日に確認した公式資料に基づきます。一般旅行者がスマホなどへ給電するモバイルバッテリーを対象とし、医療機器や電動車いすの電池、業務用の輸送は扱いません。

目次

2026年4月24日から、日本では2個まで

国土交通省の2026年4月14日公表資料は、日本での新ルールの適用日を同年4月24日と明記しています。モバイルバッテリーは160Wh以下に限り2個まで。機内での充電についても、バッテリー本体への充電と、そこから他の電子機器へ充電する行為を別々に案内しています。

預入れ手荷物へ入れないこと、ショートしないよう個別に保護すること、座席上の収納棚に入れないことも確認が必要です。国交省の旅客向けリーフレットには、座席ポケットなど手元に保管する案内があります。

個数は、容量の合計だけで判断するものではありません。たとえば容量が小さくても、モバイルバッテリーを3個持参するなら「2個まで」という条件から外れます。ANA国内線の案内も、2026年4月24日より適用として、モバイルバッテリーは1人2個まで・預入れ不可と掲載しています。

また、ノートPCやカメラ用の予備電池を別に持つ場合は、その区分の確認も必要です。JALでは100Whを超え160Wh以下の予備電池は、モバイルバッテリーと合わせた個数条件があります。「電池は全部2個まで」「予備電池の個数上限までモバイルバッテリーを持てる」と一括で考えないようにしましょう。

WhとmAhは、同じ容量の数字ではない

商品名でよく見る「10,000mAh」「20,000mAh」と、航空会社が示す「100Wh」「160Wh」は単位が異なります。mAhは電池の電気の量を示す表示で、Whは定格電圧も含めたエネルギー量です。mAhの数字をそのままWhの上限と比べることはできません。

国交省とJALが示す計算式は、次のとおりです。

Wh=定格容量(mAh)×定格電圧(V)÷1,000

国交省の例では、27,000mAh・3.7Vなら99.9Whになります。ただし、すべての商品が同じ定格電圧とは限りません。手持ち品の本体やメーカーの仕様で、その製品のWh・定格容量・定格電圧を確認してください。商品名のmAhだけから「何mAh以下なら必ず持ち込める」と決めないことが大切です。

JAL国内線の説明は、Wh数を確認できない場合は輸送できないとしています。表示が読めない品は、容量の見当だけで空港へ持参する判断を避けましょう。PCの内蔵電池と外付けのモバイルバッテリーも、異なる区分の条件をそれぞれ確認します。

国内線・国際線と海外航空会社を比べる

確認した範囲では、JALの国内線と国際線に、下表の容量・個数や機内での扱いの違いはありません。国際線だから自動的に100Wh以下へ変わる、という比較にはなりません。

確認した案内モバイルバッテリーの容量・個数機内での本体充電・他機器への給電
JAL国内線160Wh以下・1人2個まで両方をしないことと案内
JAL国際線160Wh以下・1人2個まで両方をしないことと案内
Singapore Airlines最大2個。100Wh以下は事前承認不要、100Wh超160Wh以下は事前承認が必要使用・充電とも不可

出典:JAL国内線、JAL国際線、Singapore Airlinesの手荷物制限。JALで100Wh超160Wh以下の予備電池も持つ場合は、前述の合計個数条件を確認してください。

Singapore Airlinesは、100Whを超え160Wh以下の場合、容量・電圧表示の写真に加え、国連の試験基準UN38.3への適合を示す資料の提出を求めています。販売ページの宣伝文だけでは受け付けず、正式な証明が必要という案内です。大容量モデルを買えば、そのまま承認されるわけではありません。

海外航空会社でも、必要な手続きや保管場所は個別に確認します。たとえばCathay Pacificの案内は最大2個とし、預入れ・上部収納棚への収納を認めず、前席下の機内手荷物へ保管するよう明記しています。本体充電と他機器への給電も不可です。同社の容量上限は今回、モバイルバッテリー専用の条件として確定していないため、上表へ補っていません。

ここで示したのは、確認した会社の現行案内です。ほかの会社へ同じ条件を当てはめたり、日本発なら乗継後も日本と同じと考えたりせず、行程ごとに実際の運航会社を確認します。

「本体へ充電」と「スマホへ給電」を分ける

「充電禁止」という短い説明だけでは、どちらへ電気を送る話か分かりにくくなります。国交省のリーフレットは、次のように方向を分けています。

電気を送る方向国交省の案内
機内の電源など → モバイルバッテリー本体本体への充電は禁止
モバイルバッテリー → スマホなどの電子機器他の電子機器への充電は「しないでください」

両方を同じ法的な禁止・罰則の説明へまとめることはしません。国交省資料には罰則が科される可能性のある項目の注記がありますが、他機器への給電を含む全項目に一律で付けた注記ではありません。乗客としての扱いは、搭乗会社の不使用案内と乗務員の指示に従います。

国交省は電子機器の充電に機内備え付けの電源を使うよう案内しています。ただし、自分の座席に使える電源や端子があるかは、この持込ルールだけでは決まりません。バッテリーで機内のスマホ充電を補える前提にせず、出発前に必要な充電を済ませ、座席設備も別に確認すると準備を組み立てやすくなります。

上の棚へ入れず、預ける荷物にも残さない

モバイルバッテリーは、ケースや個別の袋などでショートを防ぎ、搭乗会社が案内する手元の場所へ保管します。金属品や複数のバッテリーと同じ袋へまとめる方法は、国交省の案内に沿いません。保護ケースを用意しても、容量や個数を超えて持ち込めるわけではありません。

注意したいのは、最初は機内へ持ち込む予定だったバッグを、搭乗口などで預けることになった場面です。IATAの旅行者向け案内も、この場合に電池類を取り出すよう注意しています。バッグだけを預けるつもりで、モバイルバッテリーを中へ残さないよう確認しましょう。

帰路に買い物で荷物が増える人は、訪日旅行者向けの折りたたみバッグと追加スーツケースの選び方も参考になります。追加のバッグをどう使うかという話と、電池を預けられるかという条件は別に考えます。

2027年向けの100Whを、現在の条件へ混ぜない

JALの現行ページには、2027年1月以降は100Whに制限される可能性があるという注記があります。また、IATAが公開する危険物規則書第68版・表2.3.Cには、2027年1月1日という版の適用表示と、100Wh超のモバイルバッテリーを禁止品とする記載があります。

この将来版を、2026年現在の日本の160Wh以下という条件と入れ替えて説明することはできません。日本での2027年の最終的な適用日や移行条件は、今回確認した資料だけで確定していません。2027年の便に乗る人は、購入前と搭乗前に、公的な案内と運航会社の更新を確認してください。

買う前は、必要容量と旅程を一緒に確認する

手持ち品で容量・表示・個数などの条件を満たすなら、旅行のためだけに買い替える必要があるとは限りません。新しく選ぶ場合は、機内で使う前提を置かず、到着後など機外で使う機器に必要な容量、重さ、大きさ、端子を比べます。大容量モデルは便利でも、会社によって承認や資料準備が増えることがあります。

出発前は、次の順で整理すると確認漏れを減らせます。

  1. 搭乗日と、各区間の実際の運航会社を確認する。
  2. バッテリー本体のWh表示・型番と、持参個数を確認する。
  3. 100Whを超えるものや別の予備電池があれば、承認・合計個数の条件を確認する。
  4. 本体充電、他機器への給電、保管場所の案内を別々に読む。
  5. 荷物を預ける場面でバッテリーを取り出せるようにする。

旅先のスマホの準備では、電池と通信も別の確認です。海外eSIMを入れる時期と乗継・周遊の考え方では、出発前に済ませる通信の準備を整理できます。

個別商品の航空会社適合、実機の安全性・充電回数、実売価格や在庫はこの記事では確認していません。すべての国・航空会社を網羅した保証ではなく、条件を読むための比較です。最後は、使う製品の表示と実際に乗る便の公式案内を照らし合わせて選びましょう。