自分で小さなキッズヨガ教室を開くなら、いくら集まれば続けられるだろう。6組集まって、参加費は1組1,500円。売上は9,000円になる。だが、会場代や補助担当への支払いを引き、自分の準備時間まで数えると、続けられるかどうかは別の答えになる。
以下は、借りた会場で小さな親子クラスを開く架空の計算だ。人数、料金、費用、時間は相場ではなく説明用の仮定。満席の日だけでなく4組の日も置き、定員を守ったまま参加費や開催方法を考える。
目次
募集する前に、誰と何をするクラスかを決める
キッズヨガは、ヨガの動きや呼吸への気づきを、子どもの年齢に合う遊びや物語に組み込む活動だ。小さな教室でも、教える内容に加えて、受付や見守り、保護者への説明がある。運動する40分だけを商品にするつもりで計算すると、その前後の仕事が抜ける。
子どもだけを預かるのか、保護者と一緒に参加するのか。最初にここを決める。同じ「6組」でも、保護者1人と子ども1人なら参加者は12人。進行・補助の担当者も加わる。会場の定員欄にある数字を、そのままヨガの参加定員へ写すことはできない。
対象の年齢、活動の内容、参加時間を一文にし、初めての保護者へ説明できるか確かめる。子ども向けの声かけや活動の組み方をまだ学んでいなければ、模擬指導や経験のある指導者への相談を先に行う。
初回に確かめたいことも具体的に置く。受付が滞らないか、見学したい子の場所があるか、準備と片付けが会場の利用時間に収まるか。短い試行の目的が決まると、必要な備品や担当を選びやすい。
小さく開くよさは、開催費だけでなく、自分の説明や受付に掛かる時間も一回ずつ確かめられることだ。既に教え方を学び、地域の親子に合う活動を試したい人には、この計算が開催方法を決める材料になる。一方、参加費だけ先に決めて教え方や見守りを後回しにする段階なら、まずその準備へ戻る。
定員6組を、収支の都合で増やさない
部屋の使える床面積、周囲の家具、出入口、見学場所を現地で見る。進行中に一組が離れたら誰が対応するか。参加人数と担当体制は、年齢や実施内容、担当者の経験も踏まえて決める。仮の6組は、安全を保証する人数ではない。
会場には、子ども向け活動と参加費の徴収が認められるか、準備・片付けを含む利用時間、備品の利用条件、キャンセル料を聞く。保険も、契約期間、対象活動、補償する事故や対象者を確かめる。安い部屋を見つけても、使い方が認められなければ候補から外れる。
4組なら1,300円の持ち出し、6組なら1,300円が残る
最初は、売上と残るお金を分ける。売上は「参加費×参加組数」で、6組なら9,000円。そこから開催に使うお金を引いた差額が、次の準備や自分への支払いに回せる額だ。参加者から集めた9,000円すべてが、自分の収入として残るわけではない。
費用にも二種類ある。会場代のように参加が4組でも6組でも変わらない費用を固定費、配布物のように一組増えるたび増える費用を変動費として分ける。この例の固定費は1回6,500円とする。
| 費用 | 仮の金額 | 実際に確かめること |
|---|---|---|
| 会場 | 2,500円 | 準備と片付けを含む料金 |
| 補助担当 | 2,000円 | 担当範囲、拘束時間、交通費等 |
| 保険 | 500円 | 対象活動と補償。年間契約等を1回へ配分する場合は別に管理 |
| 交通 | 800円 | 荷物を運ぶ方法と往復費用 |
| 告知 | 300円 | 印刷・配布等の費用 |
| 共通の消耗品 | 400円 | 参加組数によらず使う物 |
変動費は、配布物などで1組200円と仮定する。参加費1,500円から200円を引いた1,300円が、その一組から固定費へ回せる額になる。4組なら5,200円なので固定費6,500円に1,300円届かない。6組なら7,800円となり、固定費を払った後に1,300円が残る。
6,500円÷1,300円=5組が、売上と開催費が同じになる人数だ。この境目を損益分岐点という。ここでは「5組なら開催費だけ払える」と読む。マットなどの初期備品、養成講座、資格登録、税金等は別に残るので、満席で残った1,300円も、そのまま手取りの利益にはできない。
予約が6組入っても、当日に4組になることはある。欠席時に参加費をどう扱うかは募集前に決めるが、必ず徴収できる前提で収支を組まない。会場のキャンセル料が発生する日までに開催判断をするなら、その時点の申込数で計算し直す。
40分のクラスに、自分は何時間使うだろう
仮に会場を2時間借り、準備30分、受付20分、クラス40分、片付け20分、余裕10分を置く。これで120分。指導している40分以外も、仕事の時間だ。
さらに、会場外の予約連絡30分、内容や資料の準備45分、記録と振り返り15分を加えると3.5時間になる。移動や個別の問い合わせがあれば、もっと掛かる。
自分の時間を1時間2,000円で計上する仮定なら、3.5時間で7,000円。満席時の差額1,300円からこれを引くと、5,700円不足する。開催費を払えたことと、自分の仕事への対価を確保できたことは、別々に読む。
人数を増やさず、参加費を計算してみる
6組のまま開催費と7,000円の時間分をまかなうには、参加費はいくら必要か。固定費6,500円と時間分7,000円を6組で割り、組ごとの200円を足すと、1組2,450円となる。初期費用や税金等を含めるなら、さらに考える必要がある。
2,500円にすれば、6組のときは開催費と時間分を払って300円が残る。しかし4組なら、収入10,000円から開催費7,300円と時間分7,000円を引き、4,300円不足する。値上げだけで満席を前提にできるわけでもない。
この計算から選ぶのは、参加費を変えた内容が受け入れられるかを調べる、条件に合う会場を探す、繰り返し使える準備を増やす、試行として負担する額を決める、といった方法だ。必要な見守りを削ったり、計算表だけで定員を増やしたりはしない。合う条件がなければ、時期を変える。
ぼっこの2021年1月6日の岡田実樹さんへのインタビューでは、一般のヨガ指導者の登録区分RYT200の取得前から自宅の教室用空間を準備し、それまでの経験をサイトやチラシづくりに使った話が読める。子連れで参加できる教室の事例であり、子どもに教えるクラスの収益例ではない。参考になるのは、資格以外にも場所と告知の準備があった点だ。修了生インタビュー
中止の日付と連絡方法を決めてから、募集する
募集文には、対象年齢、親子か子どものみか、行う内容、受付から終了までの時間、費用、持ち物を載せる。そのうえで、欠席、主催者都合の中止、天候による中止の際に、いつ誰が連絡し、参加費をどう扱うかを示す。
参加者が少ない場合の開催判断は、会場費が変わる日と合わせて決める。「この人数なら開く」と事前に決めれば、当日近くまで迷い続けずに済む。参加者にも、いつ確定の連絡が届くかが伝わる。
受付に必要な子どもや保護者の情報は、利用目的、保管する人、閲覧する人、保存期間を決める。写真撮影や掲載は、参加と分けて確認する。健康上の個別判断を引き受ける必要が出たら、適切な専門職への相談につなぐ。Yoga Allianceの指導者向け原則も、資格・能力の範囲を超える助言を禁じている。指導者の活動範囲
試行の予算と、次も開く条件を残す
学ぶための試行として持ち出しを認めるなら、その上限を先に置く。たとえば仮に3回で現金の持ち出し4,500円までと決め、毎回4組・参加費1,500円なら、開催費の不足は計3,900円。残る余裕は600円しかない。自分の時間への対価7,000円×3回も、別に確保できていない。この二つを混ぜないで残す。
終えた後は、申込数、参加数、実際の支出、準備時間、進行や見守りで困った点を記録する。安全に対応できない場面が残ったなら次回より体制を整える。費用だけが合わないなら、会場・参加費・準備方法を見直す。盛況だった、で終わらせない。
Yoga Alliance(ヨガアライアンス)は、ヨガ指導者と養成校の登録基準を定める団体だ。子ども向け指導者の登録区分をRCYT、その養成校の登録区分をRCYSという。
講座修了と登録手続きは別で、RCYT登録には一般のヨガ指導者側の要件と、RCYS講座修了後の子ども向け指導30時間などが必要になる。RCYT登録基準
教室に使う総時間と、登録の対象になる指導時間も分けて記録する。会場を借りた2時間や、準備を含む3.5時間をそのまま30時間へ足さず、対象となる活動と記録方法を確かめる。講座修了と登録の条件を読み、登録を目指すなら、その費用も開催費とは別の予算へ置く。
学びが必要なら、試行案で困った場面を講座へ聞ける。ぼっこは講座一覧で女性専用と案内している。条件が合えば、キッズヨガ講座の案内で模擬指導と運営相談の範囲を確かめる。
定員6組の欄は、そのままにしておく。参加費と会場、準備時間を動かしても続ける条件が見つからなければ、まだ募集しない。その判断も、計算して得られる答えだ。




