店頭で受け取る縦長の案内を開くと、説明や地図が三面に広がる。そんな一枚の紙を折ったリーフレットを作るときの話です。紙の表裏に印刷するなら、読む場所は計六面あります。小さく持ち歩けて、開く順に説明を見せられる一方、折る位置を考えずに画面へ三つの箱を置くだけでは仕上がりが合いません。
目次
A4を3等分する前に、紙とデータを分ける
A4の紙を巻き三つ折りにするなら、最初から99mmずつの3等分で作らないでください。グラフィックの標準折り幅は100・100・97mmで、内側に入る面を短くしています。まず印刷会社と商品を決め、その商品のテンプレート、つまり寸法や折り位置を示すひな形に合わせるのが確実です。グラフィックの巻三つ折の仕様
もう一つ大事なのが、「A4を三つ折り」と「三つ折りでA4仕上がり」の違いです。前者は小さな縦長の案内、後者は折った状態でもA4の大きなパンフレットになります。この記事では、折り方、サイズ、面の配置、データの渡し方の順に確認します。実物の発注・品質評価ではなく、印刷会社の公開仕様を照合した解説です。
印刷用のデータは、文字や写真をどこへ印刷するかを決めた電子ファイルです。それを印刷会社へ渡すことを「入稿」と呼びます。三つ折りでは、一枚の紙の片側に三面分が並び、反対側にも三面分が並びます。六面という完成品の数と、提出ファイルの数は同じとは限りません。折った後の読む場所を決めてから、注文先が求めるデータの単位へ戻すのが順序です。
テンプレートは文字を書き込む前に選びます。たとえば同じ店舗案内でも、ポケットに入る大きさがほしいのか、写真や説明を広く見せたいのかで、折った後のサイズが変わります。まず持って帰ってほしい姿を決め、以下の寸法と照合してください。
1.巻き三つ折りとZ折りを決める
巻き三つ折りは、片方の面を内側に入れ、反対側の面をかぶせる折り方です。内側に入る面を短くするのは、紙の厚みがある状態でも折り込めるようにするため。吉田印刷所も、巻き込む面は外側より2~3mm短くするよう案内しています。吉田印刷所の巻き三つ折り解説
Z折りは「外三つ折り」とも呼ばれ、山折りと谷折りでジグザグに折ります。見ている側へ折り目が出るのが山折り、折り目が奥へへこむのが谷折りです。巻き三つ折りのように、一面を包み込む構造ではありません。名前に同じ「三つ折り」が付いていても、折る方向と面の見え方が違います。グラフィックの外三つ折の仕様
作りたいものが、表紙を開いてから説明を見せる案内なのか、開いた三面を使う地図や一覧なのかを先に考えましょう。ただし用途だけで折り方が決まるわけではありません。参考にしたパンフレットがあるなら、閉じた姿だけでなく、一度開いた状態と全部開いた状態も確認してください。
2.「A4」は折る前か、折った後か
サイズは必ず「展開」と「仕上がり」を分けてメモします。
- 展開サイズ:折らずに広げた紙全体のサイズ
- 仕上がりサイズ:折った状態のサイズ
吉田印刷所の公開テンプレートでは、次のように区別されています。同社は文字や図形を配置するデザインソフト「Illustrator」向けのファイルを配布しています。以下の数値は横×縦です。
| テンプレートの種類 | 展開サイズ | 折った後 |
|---|---|---|
| 展開A4・巻き三つ折り | 297×210mm | 100×210mm |
| 展開A4・外三つ折り | 297×210mm | 99×210mm |
| A4仕上がり・巻き三つ折り | 627×297mm | 210×297mm |
| A4仕上がり・外三つ折り | 630×297mm | 210×297mm |
この表は同社のテンプレート例です。他社で注文するときは、その会社の商品表示と図面を確認してください。「A4三つ折り」という言葉だけでデータの大きさを決めると、小さなリーフレットのつもりで大きなパンフレットを選ぶおそれがあります。
商品区分にも注意が必要です。グラフィックではチラシ・フライヤーは展開サイズで選び、折り加工を追加します。一方、折パンフレットは折った後のサイズ表示で、折り加工込みの商品です。同じ会社の中でも、サイズの基準が変わります。グラフィックの折り加工案内
3.100・100・97mmは、どこを短くするのか
グラフィックのA4標準例を計算すると、100+100+97=297mmです。三面の合計がA4横向きの幅になります。短い97mmは、内側に折り込まれる面です。グラフィックの標準折り幅
この「短い面の場所」が、データの表裏で同じ側になるとは限りません。横向きに広げた紙を左右に裏返して見ると、左にあった面は右に移ります。グラフィックも、オモテとウラで対応する面が左右反転する点を注意事項にしています。表裏の位置関係の説明
たとえば外面を左から97・100・100mmで作った場合、裏側を同じ天地、つまり文字の上と下をそろえて見る中面は100・100・97mmになります。これは表裏の対応を説明する例です。右開き・左開きや上下に開く仕様では、表紙位置や文字の向きも変わるので、幅だけコピーして完成としないでください。
自分で3等分してから一面を縮めるより、注文先のテンプレートを最初に使う方が確認箇所を減らせます。別会社のテンプレートを流用する場合は、展開寸法、面幅、表紙位置をすべて照合する必要があります。切る位置の外まで背景を延ばす「塗り足し」の指定も、後半で確認します。
4.面順は番号より「役割」で確認する
両面の三つ折りは、表裏それぞれ三面で計六面あります。吉田印刷所も巻き三つ折りを「6ページ折り」として説明しています。ただし六面あることと、一面ずつ六つのファイルを提出することは別です。吉田印刷所の印刷用語集
まずは次の役割を書き込んでください。
- 表紙:閉じたときに最初に見せたい面
- 裏表紙:閉じたときの背面
- 折り込み面:最初に内側へ入る面
- 中面三面:全部開いたときの説明部分
外面の右端を表紙にする横向きの例なら、左から「折り込み面・裏表紙・表紙」。反対の中面は、左から「表紙の裏・中央の裏・折り込み面の裏」と対応します。これは役割を把握するための配置例で、全商品共通の面番号ではありません。
図を拡大して見る(別タブ)
「1・2・3」と順番に並べる前に、閉じた状態、表紙だけ開いた状態、全部開いた状態を考えると、内容を置く場所が決まります。電話番号は閉じたまま見せたいのか。料金表は三面を使うのか。最初の説明を読んだ後、次にどこへ視線を移してほしいのか。文章を書き込む前に決めておきましょう。
店舗案内を例にすると、表紙に店名、開いて最初に見える面に利用の流れ、全開の中面にメニュー、裏表紙に連絡先、という案を考えられます。これは面の役割を決める例で、完成デザインの決まりではありません。白い紙に役割だけ書いて開閉順を確かめれば、細かな装飾を始める前に、読者が次に見る場所を考えられます。本稿の図は配置の説明用で、実物印刷の検証結果ではありません。
入稿先の図では、外面を「表面」、内面を「中面」「裏面」などと呼ぶ場合があります。「裏面」と「裏表紙」は同じ範囲とは限らないため、用語だけで判断せず、表紙の位置を図で照合してください。
5.PDFは六面ばらばらか、展開した二面か
PDFは、文字や画像の配置をページとして保存する電子文書の形式です。画面上でPDFが六ページあることと、折った紙に六面あることは別。入稿先が一枚の紙の片側全体を一つのデータに求めるなら、その中へ三面分を配置します。
グラフィックは折パンフレットのPDFを展開サイズで表面と中面に分けて作るよう案内しています。また、スタッフによるデータチェックのWeb入稿では、折り位置、折り幅、山折り・谷折り、表紙位置が分かる加工指示用データを別途付ける必要があります。グラフィックのPDF作成FAQ
表面・中面という提出単位と、完成後に読者が見る六面を分けて考えるのがポイントです。たとえば表面のデータには、表紙だけでなく裏表紙と折り込み面も入ります。作業を始める前に、どの面が一つのデータに含まれるかを書き出してください。
つまり、デザインソフトに「6ページ」の文書を作っただけでは、注文先の入稿方法に合わない可能性があります。先に提出単位を確認し、その単位に合わせて作業ファイルを用意しましょう。確認用の折り線や「表紙」の文字を本番の印刷絵柄に残さないことも大切です。加工指示の渡し方は会社や入稿方式に合わせます。
6.塗り足しを加えても折り幅は変えない
印刷した紙を切って最終寸法にすることを「断裁」と呼びます。塗り足しは、その切る位置の外側まで背景や写真を延ばす部分です。切る位置が少しずれても、紙の端に白い隙間が出ないように用意します。
グラフィックの解説では、外側に3mmの塗り足しを設け、文字やロゴは断裁される仕上がり線から2~3mm以上内側に置くよう案内しています。グラフィックの塗り足し解説
四辺に3mmずつ付ける仕様なら、297×210mmの展開面に必要な塗り足しを含む範囲は303×216mmです。297+3+3、210+3+3という計算になります。折り幅を100・100・97mmから増やす計算ではありません。
ただし、これは必要な絵柄の範囲であり、書き出すPDFのページサイズを必ず303×216mmにするという意味ではありません。トンボは切る位置などを示す印刷用の目印です。それとPDFの設定を含め、使用ソフト向けの入稿ガイドに従ってください。
グラフィックの巻三つ折の仕様/グラフィックの塗り足し解説
折り線は紙を切り落とす線ではないので、三つの面をそれぞれ拡大して塗り足しを追加する作り方とは区別します。また、断裁位置から内側へ離すという案内を、そのまま折り目からの安全距離と読み替えないでください。折り目付近に小さな文字、スマートフォンなどで読み取るQRコード、顔の中心などを置かず、必要な余裕は注文先の指定で確認しましょう。
入稿前の最終チェック
- 注文した折り方は巻き三つ折りか、外三つ折りか
- 商品サイズは展開サイズか、折った後のサイズか
- テンプレートと注文先・商品・開き方向が一致しているか
- 内側に入る面は、指定どおり短くなっているか
- 表裏で短い面の位置が正しく対応しているか
- 閉じたときの表紙と裏表紙、開いたときの天地が合うか
- 展開面で出すか単ページで出すか、入稿方式に合っているか
- 塗り足し、文字の位置、加工指示データを確認したか
迷ったら、装飾より先に「折った後の大きさ」「表紙の場所」「短い面の場所」を確定させてください。公式テンプレートを基準に、六面それぞれの役割を書き出すところから始めると、作り直しを防ぎやすくなります。
紙の仕組みが気になったら
一枚の紙が、折り方で読む順番を変える。そんな仕組みが面白かったら、机の上の紙にも少し寄り道を。ハリナックスプレスは、針を使わずにどう紙をとじるのかを読むと、今度は押し合わせて束を保つ仕組みを見られます。紙の扱い方をもう一つ知りたくなったときの話です。

